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耳の病気

耳の病気について

耳の病気

目や鼻と同様に感覚器のひとつである耳は、聴覚(音の情報を感知)と平衡感覚(バランス)をつかさどる器官です。耳は主に内耳・中耳・外耳に分類されますが、これらで起きた異常や病気を診療いたします。

中耳炎

中耳炎とは

中耳腔(鼓膜の奥にある空間)に炎症が起きている状態が中耳炎です。ただし、その原因・病態は様々であり、主に急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎の4つに分類されます。

急性中耳炎

乳幼児や小児に多くみられ、急性という病名の通り、急に耳が痛くなります。園児よりも小さいお子さんでは、痛みを伝えることは困難ですので、耳に手をやる、原因がよくわからないが泣いている、機嫌が悪いといったことで気付かれる場合もあるため注意が必要です。

子どもに多く発症する原因としては、耳管などの器官が未発達であるということがあります。耳管とは、鼻の奥から中耳につながっていて中耳の換気や排泄に関与している管のことをいいます。多くは鼻から入ったウイルスや細菌がこの耳管を通って中耳に侵入し、それによって炎症が起きて中耳炎を発症します。子どもの耳管は太く水平で大人と比べて複雑な構造をしていないことから細菌などが侵入しやすいのです。そして炎症が起きるとやがて膿が溜まるようになって鼓膜が腫れるなどし、聞こえが悪い、耳が詰まる、痛む、発熱、耳漏といった症状があらわれるようになります。

治療については、軽症の場合は、抗生剤を使う前に2~3日ほど経過観察をします。これは、抗生剤の適正な使用によって抗生剤の効かない耐性菌の増加を防ぐ目的があります。軽症で経過観察中に症状が悪化する場合や中等症以上では抗生剤を使用します。急性中耳炎の三大起炎菌は、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、ブランハメラ・カタラーリスであることが知られているため、これらに感受性のあるペニシリン系抗生剤を使用します。痛みが激しく、鼓膜所見から中耳内に膿が貯留し、鼓膜が膨隆している場合は、中耳の減圧のために鼓膜切開を行います。鼓膜は再生力が強いので炎症が解消すれば、数日で切開した穴はふさがります。

家庭で注意する点としては、乳幼児で鼻汁が多く鼻が詰まっている場合は、片方ずつ鼻をかませる練習をします。また、新生児や乳児では自分で鼻をかむことができないので、市販の鼻吸い器具で鼻汁を吸ってあげる必要があります。夜間に耳を痛がった場合は、耳の周りを冷やしたり、解熱鎮痛剤を持っていれば飲ませてあげるのも効果的です。

滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)

耳管(鼻の奥と中耳腔をつないでおり、中耳の換気や排泄に関与している管)の働きが悪くなることによって、中耳に滲出液(周囲の組織からしみ出た液体)が貯留することで聴力などが低下している状態をいいます。急性中耳炎が治りきらない小児によく見られる病態なのですが、高齢者の方の発症も少なくありません。耳の聞こえが悪い、耳の詰まった感じがするといった症状があらわれますが、痛み、発熱などが出ないため気づきにくく、滲出液も少しずつ溜まるようになると聞こえづらいといった症状も出にくいです。特に乳幼児では自覚症状を訴えないことが多いため、聞き返しが多い、テレビの音が大きいなど生活の中で難聴が疑われる場合は医療機関への受診をお勧めします。なお、片耳で起きる場合と両耳で起きる場合があり、前者は高齢者が、後者は小児によくみられます。

治療としては、まず原因疾患の治療を行います。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などが原因で鼻詰まりや鼻水によって耳管が詰まり、その影響で滲出液が貯留して滲出性中耳炎を発症することが多いため、細菌による感染が原因なら抗生剤、粘膜の腫れが原因なら抗炎症剤などを使用します。

乳幼児では、中等度以上の難聴が持続すると言語習得に影響を与えるため、早期に対応を講ずる必要があります。そのため3ヶ月間の経過観察あるいは保存的治療を行っても改善が得られない場合は、鼓膜切開を行って中耳内の液体を排出するようにします。しかし、切開した穴は数日で閉じてしまうため、滲出液の貯留が再燃(再び症状が出現)する場合は、鼓膜に換気チューブを留置する必要があります。

鼓膜換気チューブは、成人では外来で局所麻酔下で挿入が可能ですが、乳幼児のように局所麻酔下での処置が難しい場合は全身麻酔下での処置が必要になる場合もあります。

慢性中耳炎

耳管から侵入してくる病原体だけでなく、急性中耳炎が治りきらない、あるいは繰り返すことによって鼓膜に穴が開いたままとなり、2つの経路(経耳管、経外耳道)から病原体が侵入できる状態になっているのが慢性中耳炎です。このような場合、中耳が外界と交通しているため、炎症が起きやすく、膿が出やすい状態になっていることから、耳漏を繰り返すことになります。

鼓膜は多くの場合、穴が開いたとしても自然にふさがることが多いのですが、炎症が長く続いてしまうと穴が閉じなくなってしまうこともあります。主な症状は、聞こえが悪くなること(難聴)と繰り返す耳漏で、人によっては耳鳴り、めまいなどがみられることもあります。

治療としては、感染をおこして耳漏が出ている場合は抗生剤の内服や点耳によって細菌を除去し感染を制御することを第一に考えますが、根本的な治療には手術が必要です。具体的には、鼓膜のみの操作を行い鼓膜穿孔を閉鎖する鼓膜形成術、鼓膜だけではなく鼓膜の奥の中耳腔の操作も行う鼓室形成術があります。どちらの手術を行うかについては、鼓膜穿孔の大きさや位置、鼓室内の状態(CT所見を参考)、聴力の状態などを総合的に判断して決定します。難聴を補うために補聴器を装用することも一つの選択肢ですが、耳漏があると補聴器をつけづらいこともあります。

真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)

鼓膜の一部に凹みが生じ、それが深くなることで袋状になって、その中に耳垢が堆積し増殖した塊を真珠腫といいます。それに細菌感染が生じ、特殊な酵素が産生されるようになると耳小骨や周囲の骨が溶かされることによって、様々な症状が起きるようになります。これが真珠腫性中耳炎です。

原因としては、幼少期の繰り返す中耳炎、遷延化した滲出性中耳炎、耳管機能不全、鼻すすりなどがあります。初期の症状としては、繰り返す耳漏で慢性中耳炎と同じですが、真珠腫が進展すると様々な症状を生じます。耳小骨が破壊されるようになると難聴が生じるようになり、三半規管の周囲の骨が破壊されるとめまい症状が現れます。また、中耳には顔面を動かす顔面神経が走行していますが、真珠腫が顔面神経に浸潤すると顔面神経麻痺が生じる場合もあります。さらに病状が進行すると内耳炎や髄膜炎を発症することもあり、非常に危険な中耳炎です。

治療は、初期病変を除いて原則的に手術が必要となります。顔面神経麻痺、感音難聴、めまいなどの神経障害は真珠腫を摘出しても改善しない可能性が高いため、このような症状が出る前に手術を行うべきです。手術は、鼓室内及び乳突洞に進展した真珠腫を摘出するため鼓室形成術、乳突洞削開術を行います。真珠腫の進展具合によっては手術を2回に分けて行うこともあります。

外耳炎

外耳炎とは

耳の穴の入口から鼓膜までの範囲が外耳道で、ここに炎症が起きている状態を外耳炎といいます。よく見受けられるのが耳かき、爪などによって外耳道の皮膚を傷つけてしまい、その傷口に細菌や真菌が感染して炎症が起きるというケースです。このほか、糖尿病に罹患している方は一度炎症を起こしてしまうと治りにくいといわれています。さらにプールや海水浴などで外耳道に水が入ることで発症することもあります。

主な症状としては、痛みやかゆみ、耳漏、耳が詰まる、灼熱感などがあらわれます。また周囲の皮膚が全体的に腫れあがるびまん性外耳炎の場合は聴力低下がみられます。

治療が必要と医師が判断すれば、綿棒や吸引器などを用いた耳掃除、局所の洗浄、局所への点耳薬の投与、軟膏の塗布などを行います。びまん性外耳炎の場合は、抗生物質の塗布・投与を1週間ほど行います。また、外耳道内におでき(限局性外耳炎)ができている場合は、切開して膿を排出した後、切除部位に抗生物質を塗布します。

耳垢栓塞

耳垢栓塞とは

耳垢栓塞の耳垢(じこう)とは耳あかのことです。これは耳あか(耳垢)が外耳道内で多量に溜まってしまうことでやがて完全に塞がってしまい、まるで耳栓をしているかのように聞こえが悪くなる状態をいいます。

耳あかにはドライな状態とウェットな状態の2つのタイプがあるのですが、ドライであれば耳掃除をしなくても耳あかは自然と排出されるようになります。ただ、ウェットタイプでは外耳道内で付着しやすく固まりやすいので、綿棒や耳かきで耳あかをとっているつもりでも逆に押し込んでいるということもあります。さらに入浴やプールなどで外耳道に水が入ってしまい耳あかが膨張することによって、外耳道は完全に塞がってしまい、難聴(軽~中程度の伝音難聴)、耳閉感や異物感があらわれるようになります。

治療は、耳垢の除去になります。このような状態になると医療機関でないと対処できません。除去方法は薬で耳垢を溶かす、きれいな水で洗い流す、鉗子(かんし)や異物鉤(いぶつこう)など特殊な器具を用いて取り除くようにします。なお、除去時に痛みを訴えているようであれば、外耳炎、もしくは外耳道真珠腫といった病気を併発していることもあります。

難聴

難聴とは

聴力が低下している状態(音が聞こえない、聞きにくい)を難聴といい、その程度は聴力検査で確認できます。具体的には、純音聴力検査にて、25~40dB未満を軽度難聴、40~70dB未満を中等度難聴、70~90dB未満を高度難聴、90dB以上は重度難聴になります。また難聴は、障害された部位によって伝音性難聴と感音性難聴に分類されます。伝音性難聴は、外耳、中耳の障害による難聴で、音が伝わりにくくなった状態で音を大きくすれば比較的よく聞こえるようになります。また、治療によって改善される場合もあります。一方感音性難聴は、内耳、聴神経、脳の障害による難聴で、音量だけでなく音質も悪くなっているためただ単に音を大きくしても言葉を理解するのが難しい状態です。さらに難聴には先天性と後天性があり、前者は生まれつきのもので中等度以上の難聴の場合は速やかに特定し、早めに療育する必要があります。一方の後者は後天的なもので、一時的に聞こえないこともあれば、治らないこともあります。また、原因が特定できない難聴もあります。

突発性難聴

片方の耳が突然聞こえなくなる疾患です。その他にも、めまい、耳鳴り、耳閉感が同時に起こることもあります。原因の多くは急激に発症する感音難聴(内耳や聴神経の異常によって生じる難聴)ではないかと考えられていますが、原因不明の場合は突発性難聴と診断されます。なおこの疾患の原因は明らかになっていませんが、ウイルス感染や血流不良、日常生活上のストレスが関与しているのではないかと考えられています。また、症状が一度起きてしまうと回復するのに時間がかかることが多いです。

治療に関しては、早期に行うほど聴力が回復しやすいといわれており、具体的には発症から1週間以内に治療を開始するのが望ましいといわれています。まず安静が第一ですが、薬物療法が必要と医師が判断した場合は、ステロイド剤の内服または点滴が優先的に行われます。そのほか、プロスタグランジン製剤、ATP製剤などの血管拡張薬、ビタミン剤などを用いることもあります。これらで改善が見られない場合は、高圧酸素療法、ステロイド剤の鼓室内投与、星状神経節ブロックなどの追加治療が行われることもありますが、十分なエビデンスは確立されていません。

なおこのような治療により、全体の1/3程度の患者様が治癒するといわれ、改善するものの若干の聞こえずらさが残る方が1/3程度、残りの1/3程度の方は回復が困難といわれています。突発性難聴の後遺症は、非常に不快なものです。特に耳鳴りが残ると頭の中で常に音がしているため、生活の質にも影響します。

低音障害型難聴

感音難聴の一種で、主に1,000ヘルツ以下の低周波数帯域の音が急に聞こえなくなる病気とされています。そもそも感音難聴とは、蝸牛や聴神経が障害されることで起きる難聴のことですが、そのタイプは様々で、高音が聞きにくい方、低音が聞こえにくい方など様々です。

低音障害型難聴は、低い音域のみの聴力が低下してしまう病気ですが、そのほかにも、耳の閉塞感、耳鳴りといった自覚症状があらわれます。発症原因としては、ストレス、慢性的な疲労、睡眠不足などがいわれています。

なおメニエール病と症状がよく似ていますが、この場合は内耳全体に内リンパ水腫が生じ、めまいの症状があります。一方の低音障害型難聴は、蝸牛にリンパ液が溜まり過ぎることが原因とされ、それによる難聴の症状が出ているといわれています。人によっては、蝸牛型メニエール病と呼ぶこともあります。

治療を行うにあたって大切なのが、休養をとることです。また薬物療法として、内耳のむくみをとるための利尿剤、ステロイド剤などを使用します。聴力予後は比較的良好である一方、長期的には反復、再発例が多いことから、一度改善が得られても十分な休養や睡眠など生活習慣に気をつけることが必要であるといわれています。

老人性難聴(補聴器)

老化に伴って生じる聴力低下のことを老人性難聴といいます。このような状態になると耳の神経細胞と聴覚中枢の細胞が減少するようになり、初期症状としては高音域が聞きづらくなります。次に周囲の雑音で言葉が聞き取れなくなるようになって、やがて低音域も聞こえにくい状態となります。なお、左右の耳の進行具合はほぼ一緒です。このほか加齢以外の原因として、喫煙、ストレス、動脈硬化なども聴力を低下させる原因になります。

老人性難聴の場合、聴力を回復させるための治療法は現在のところ有効なものはありません。そのため、補聴器を使用することで、日々の生活で感じる聞こえにくさをカバーします。補聴器とは簡単に言うと小型拡声器です。音をマイクロホンで電気信号に変えることで内臓のアンプ(増幅器)にて増幅、これにより強大な音となってイヤホンで再生する装置になります。

なお補聴器は医療機器でもあるので、購入を希望される場合は、当クリニック含む耳鼻咽喉科を一度ご受診ください。現在の聴力と耳の状態、また難聴の原因などを判断し、補聴器の必要性・適応まで含めた検査を行います。当クリニックでは、補聴器外来にて補聴器適合検査や認定補聴器技能者と一緒に相談しながら補聴器の作成・調整を行なっていますのでご相談ください。

補聴器は、そのままの状態では聞くことが困難とされる耳の遠い方に対して、音を増幅することで聞こえやすくするというものです。音質が著しく改善するわけではないため装着することで以前と同様の聞こえ方が期待できるわけはありません。ただ、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになることで、生活上不便を感じていた環境を変えられるようになります。

耳鳴り

耳鳴りとは、実際に音はしていないのにも関わらず、何かが自分の耳の中(頭の中)で鳴っているように聞こえる現象をいいます。多くの場合、耳から脳までの聴覚経路(外耳、中耳、内耳、聴神経、中枢神経など)の障害で生じると考えられますが、ストレス等による心因性の場合、自身の調子によって起こる場合もめずらしくありません。

主な症状として、耳鳴りを訴える方の音の種類は「キーン」「ジー」「ピー」「ザー」「ゴー」など様々で、どのような音であっても突然そのような状態になってしまった場合は、メニエール病や突発性難聴などの急性感音性難聴が疑われますので、当クリニック含む耳鼻咽喉科を一度ご受診ください。

耳鳴りの原因を調べる検査につきましては、問診、耳鏡検査、聴力検査が行われます。聴力検査では、耳の聞こえを調べる純音聴力検査をはじめ、ピッチマッチ検査(耳鳴りの周波数を調べる)、ラウドネス・バランス検査(耳鳴りの音の大きさを調べる)、遮蔽検査(音を出すことで耳鳴りの音が消えるかなどの検査)などが行われます。また医師が必要と判断すれば、CT、MRIといった画像検査も行い診断をつけるようにします。

検査の結果、ある病気の一症状として起きている耳鳴り(中耳炎、突発性難聴、メニエール病など)と判明した場合、その疾患の治療を行います。

また耳鳴りを意識しすぎている患者様の場合は、薬物療法として、抗不安薬、抗めまい薬、ビタミンB12製剤、ステロイドホルモンを耳(鼓室内)に注入するといったことを行います。このほか抑圧療法として、雑音で耳鳴りを遮蔽(マスカー療法)する、個人の聴力に合った雑音を用いて耳鳴りが気にならなくなるように訓練する(TRT療法)といったことを行うこともあります。またカウンセリングや自律訓練法など心理療法で、耳鳴りを自らコントロールする方法も用いられることがあります。

めまい

メニエール病

グルグルと回るような回転性めまいに、ある日突然襲われるほか、片側の耳に耳鳴りや聞こえにくさ、耳が詰まった感じなどの症状などがみられ、人によっては吐き気や頭痛が伴うこともあります。このような症状は数時間ほどで治まることが多いですが、これら一連の発作は繰り返し起きるようになり、そのことで聴力も次第に低下していくようになります。主に30-40代の女性に好発しやすいと言われていますが、社会状況変化によって高齢の男性が発症することも多くなっているといわれています。

発症原因は内リンパ水腫という、内耳の内リンパ液(蝸牛管)圧の上昇によるものと考えられており、これにより耳閉塞感が起こります。さらに内リンパ水腫が大きくなって内リンパ液の膜が破裂し、内リンパ液と外リンパ液(前庭階、鼓室階)が混ざるようになると強いめまいや難聴が起きるといわれています。膜は破れても再びくっつくので、めまいは治まるようになりますが、再び内リンパ水腫が起きることで、また発症するようになります。なお繰り返す原因は現時点ではわかっていませんが、ストレス、睡眠不足、疲労などが影響するのではないかといわれています。

現在、メニエール病を根本的に治癒する治療法はありません。従って対症療法を行うことになります。めまいが強い場合は抗めまい薬、内リンパ液が溜まるのを防ぐために利尿剤を用いる、不安が発作の誘因になることから不安に対処するため抗不安薬を使用するなどです。また、これらの薬物療法では症状が改善しない場合は、手術療法が行われます。例えば、内リンパ液が溜まらないように内リンパ嚢に穴を開ける内リンパ嚢開放術などです。そのほか生活習慣の改善として、睡眠を十分にとる、規則正しい生活を心がける、脱水を予防するため十分な水分を摂取するなどが大切です。

良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal positional vertigo : BPPV)

寝返りを打つ、朝起き上がろうとして急に立ち上がる、高い場所から荷物をとるときに上を見るといった際に急にめまいが起きて、吐き気などの症状もあるという場合、良性発作性頭位めまい症が疑われます。めまいを発する病気の中では最も多く、耳の病気が原因で起きるめまいの中でも半数以上を占めています。

これは内耳にある耳石器(頭や体の傾き具合を感知する器官)にある耳石(炭酸カルシウムの結晶から成る組織)が剥がれ落ちて、本来あるべきではない三半規管の中に入り込み、やがてリンパ液に溶け込んで頭を動かす際にこの石が動くことで神経を刺激して、めまいを起こすとされています。原因は不明ですが、更年期以降の女性に多いことから、加齢や女性ホルモンの低下によりカルシウム代謝が低下し、耳石が剥がれやすくなると考えられています。

良性という名の通り、中枢などに異常があらわれることはなく、耳石が消失すればめまい症状も改善します。なお、1回のめまいが生じてから治まるまでの持続時間は数十秒というのが大半で、長くても数分ほどです。めまい症状は長くても数ヵ月で治り、繰り返されることがあっても症状は徐々に軽くなっていきます。自然に治ってしまったというケースも少なくありません。また、難聴や耳鳴りなどの聴覚障害を伴わない点が、メニエール病などの他の内耳疾患と異なります。

めまいや吐き気の症状が強ければ、薬物療法として抗めまい薬を使用し、めまいに対する不安があるという場合は、抗不安薬を用いることもあります。症状改善を早めたい場合は、理学療法を行います。これは、剥がれ落ちた耳石を元の位置に戻すために行われる手法で、ベッドで横たわった患者様の姿勢や頭の位置を医師がゆっくり変えていくという治療です。また日常生活では、動くとめまいがする病気のため安静にしている方が多いですが、動かずにいると改善するまでの時間が長くなるため、めまい症状がある程度落ち着いてきたら積極的に動くことをお勧めします。

前庭神経炎

立っていられなくなるほどの激しいめまいに突然襲われ、多くはひどい吐き気も伴います。そのため、脳卒中などの脳の病気を考えてしまう方もいますが、激しい頭痛、手足のしびれ、手足の麻痺、意識障害、耳鳴りや難聴といった症状がでることはありません。安静にしていれば、症状は次第に軽くなっていき、1~3週間ほどで治まるようになります。また、症状を繰り返すことはありません。

このような症状が起きる原因は現時点では特定されていませんが、内耳の情報を脳に伝える神経(前庭神経)がウイルスに感染し、炎症を起こすことで発症するのではないかと考えられています。なお、めまいが出る前に風邪のような症状がみられる方もいます。

安静に努めることが大切で、入院して療養するケースも少なくありません。吐き気やめまいの症状がある場合は、抗めまい薬や吐き気を抑える薬を使用します。そのほか炎症を抑えるステロイド剤などを使用することもあります。回転性めまいが治った後もふらつきがしばらく続くことがあるため、めまいのリハビリテーション(めまい体操)を行うこともあります。

自律神経障害

自律神経が障害を受けている状態を自律神経障害といいます。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、これがバランスよく機能することで、とくに意識をしなくても、呼吸、体温、血管、内臓などの働きはコントロールできるようになっています。しかし、何らかの原因により、2つの神経のバランスが崩れるようになると様々な症状(めまい、耳鳴り、頭痛など)が起きるようになります。

自律神経の障害でよくみられる症状は、起立性低血圧です。これは、寝ていたり、座っている状態から立ち上がったりした際に、急な血圧低下によって、めまい、ふらつき、失神などが起きる病気です。脳への血流を調節する機能が低下することで起きると考えられ、高齢者や子どもによく見受けられます。

原因としては特定される病気がなく起きる本態性と、糖尿病や脱水症状といったことが原因で起きる症候性に分類することができます。なお起立性検査で治療が必要と診断されたら以下のことを行います。

具体的には、薬物療法として血圧を上げるために血管収縮剤、交感神経作動薬などを使用するほか、血圧を下がりにくくするためのリハビリとして、運動や筋力強化を行っていきます。そのほか予防対策として、急に立たない、長時間立たない、水分・塩分を多めに摂取する、早寝早起きなど規則正しい生活のリズムを整えるといったことも心がけます。

顔面神経麻痺

顔面神経に支配されている顔面筋が運動麻痺を起こしている状態が顔面神経麻痺です。この疾患は主に原因疾患が明らかな症候性顔面神経麻痺と、原因がはっきりしない特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)とに分類されます。主な症状としては、顔が左右非対称、口やまぶたを閉じることができない、顔面麻痺が生じている側の耳が過敏になるといったことがあります。

なお顔面神経は顔面神経管と呼ばれる狭い骨のトンネルを通って脳から外へ出る構造となっているのですが、何らかの原因によって顔面神経が腫れて管の中で圧迫され、循環障害が生じることよって麻痺が生じると考えられています。

ベル麻痺が生じる原因はよくわかっていませんが、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされているという報告もあります。単純ヘルペスウイルスは、幼少期に感染することが多いウイルスであり、口唇ヘルペスを引き起こすウイルスです。ヘルペスウイルスはひとたび感染すると、体内にウイルスが潜み続けることになります。たまたま顔面神経周囲に潜んでいたウイルスが何らかの原因で再活性化することによって、顔面神経の炎症を引き起こし麻痺が生じると考えられています。

また、水疱瘡の原因ウイルスである帯状疱疹ウイルスの再活性化で顔面神経麻痺が生じるハント症候群もあります。ハント症候群の場合は、顔面神経麻痺以外に耳鳴り・難聴・めまいといった内耳障害を合併します。また、外耳道および耳介周囲に痛み・かゆみを伴う発疹・水疱を認めます。その他にも、腫瘍、外傷、脳梗塞、代謝疾患などが原因となる場合もあります。

治療についてですが、脳梗塞などの病気の一症状である場合は、原因疾患の治療を行います。ベル麻痺やハント症候群の場合は、ステロイド剤、抗ウイルス剤、ビタミン剤などを用います。治療は早期に開始する方が治りやすいと言われており、症状が出現した場合はすぐに当クリニックを含めた医療機関を受診することをお勧めします。また、外傷などによって顔面神経が圧迫されている場合あるいはベル麻痺やハント症候群であっても麻痺の程度が強く治りにくいと判断された場合は、顔面神経減荷術という手術療法を行うこともあります。

甲府昭和みみ・はな・のどクリニック

診療科目
耳鼻咽喉科
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